リアキャリパーO/H

サンプル車:PS13シルビアK's
(LAST UPDATE:2010.2.4)
 

リアキャリパーをO/Hしてみました。
サイドブレーキ内臓型なので少し複雑でしたが、なんとかできました(;´д`)
サイド部分をOHしようとすると特殊工具が必要となります。
ネットでもO/Hレポートが少ないのはこのせいなのかな・・・?

なお S14、S15も同様の手順でO/Hすることができます。
※ただしS14、S15、180SX後期はO/Hキットの部品番号が違います。

使用した部品

商品名もしくは部品名 部品番号 価格
リアキャリパーシールキット AY620-NS004 \4290
ブレーキフルード    

価格はすべて2010.1現在&税別
 

使用した工具

工具名 備考
ソケット 14、17、19ミリ
、メガネレンチ 14、17、19ミリ
スピンナーハンドル  
スナップリングプライヤー  
鉄パイプ  
SST 作成方法はレポート内を参照
潤滑浸透剤 CRC-556、ラスペネなど
パーツクリーナー ブレーキクリーナーでOK
油圧ジャッキ  

O/Hキットです。フロントのOHキットに比べて1000円ほど高いです。

これが袋の中身です。主にゴムシール類、スナップリング類です。
セット内のスナップリング中2個は使いませんでした。

車をジャッキアップしてホイールを外してください。サイドブレーキが使えなくなるのでしっかりと車輪止めを使って車が動かないようにしておいてください。
ギアを入れておくのも手ですね。

まずはキャリパーを車から取り外します。
サイドブレーキをおろし、サイドブレーキワイヤーをはずします。
○印のロックプレートをとりはずしておきます。
 

キャリパーに固定されているブレーキホースを外します。(12ミリ)
フルードが漏れてくるのでガラス瓶などで受け止めてください。

キャリパーを固定している○印のボルト2本(14ミリ)を外せばキャリパーは取り外せます。

まだサイドワイヤーがひっかかっている状態なので傷つけないよう注意してください。

キャリパーのブラケット部分も取り外します。
○印のボルト2本(17ミリ)を外せば取り外せます。
パッドなどはブラケットごとはずします。

キャリパーだけになったらとにかくブレーキダストなどの汚れを落とします。ワイヤーブラシでガシガシと磨きましょう。
場合によっては水洗いしてしまってもいいでしょう。
水洗いする場合はブレーキホース取り付け穴などから内部へ水が入らないようにしてください。
洗い終えたら十分乾燥させ ましょう。

では、早速分解していきます。
まずはピストンをキャリパーから抜き出します。
ラジオペンチなどをキャリパーのミゾにあわせ、半時計周りに回してやりましょう。ブーツとともに簡単に外れます。
外れるときにフルードが飛び出る可能性があるので目に入らないように気をつけてくださいね。

ピストンをキャリパーと分離させることができたら、 ピストンについているゴムブーツを取り外し、ピストン内部を分解します。
スナップリングプライヤーでスナップリングを外します。

このOリングも忘れずに取り外してください。
竹串などを使えばキズをつけずに取り外すことができます。

ピストンのパーツの一覧です。
取り外したパーツはブレーキクリーナーをふくませたウエスなどで古いブレーキフルードを除去してキレイにしましょう。
ピストンのパッド接触面はワイヤーブラシでゴシゴシ洗ってもOKです。
ピストン壁にはキズをつけないようにしてできるだけキレイにしましょう。
ワイヤーブラシでみがくときはピストン壁部分に布テープなどを貼り付けておくと磨きキズをつけなくて済みます。

Now
Printing

続いてサイドブレーキ機構の分解をします。
まずサイドワイヤーブラケット部分を分解します。

ブラケットについているスプリングを取り外します。
写真のようにドライバーなどでこじって取り外してください。

スプリングが外れたらナットを取り外します。(17ミリ)
固着している場合が多いのでCRCなどを使って取り外してください。
ナットが外れたらブラケットも取り外してください。

次はキャリパー側の分解をします。
キャリパー側面にはめ込まれている大きなOリングを取り出します。このときキャリパー壁にキズをつけないようにしてください。ここも竹串などで取り出すといいでしょう。

※ここから先の作業はSST(特殊工具)がないと分解できても組み付けることができません。

写真はキャリパーのピストンが収まっていた部分です。
スナップリングプライヤーでスナップリングを縮め内部のパーツを取り出します。
一つ目のスナップリングを外すと、スプリングカバー、スプリング、ワッシャーが取り出せます。

※スナップリングをはずすときにキャリパー側面に傷をつけないように注意してください。

同様に、 二つ目のスナップリングを外すと、スピンドルロッド、ロックプレート、ストラットピンが取り出せます。
なお この2つのスナップリングを外すにはロングノーズタイプのスナップリングが必要となります。

グリスまみれのストラットピンです。

スピンドルロッドのOリングを取り外します。ここも竹串などを使って取り外すとキズをつけなくてよいでしょう。

そして先ほど取り外したサイドブレーキブラケット部分のカムを抜きます。
ゴムブーツごと取り外してください。

分解作業もいよいよ終わりに近づいてきました。
最後はキャリパーのブラケットを分解します。
ブーツ部分のスライドピンを引き抜きます。たったこれだけです(爆)

ここまでで取り外したパーツの一覧です。
汚れをウエス等でふきとってきれいにしておきましょう。
分解はここまでです。

−はみだし情報−
「高いスナップリングプライヤを買うのはいやだ〜(;´д`)」という人は自作 しちゃいましょう!ここでは簡単に作成方法を紹介しておきます。

鉄棒2本の先を削ってリング穴にはいるようにしておいて、根元を針金で頑丈に結びます。
 人 ←イメージ的にはこんな感じですね。

そしてこの結ばれた鉄棒2本にキーホルダーなどで使われている2重構造のリングをはめます。できるだけ小さい輪のものがいいです。(小さいほど締め付けるので)

そしてスナップリングの穴に鉄棒の先を入れ、キーホルダーリングを鉄棒の先のほうにドライバーなどをつかってグイグイと押し込んでいけばスナップリングを縮めることができます。

この工具を作る場合のコツは鉄棒は丈夫なものにすること、鉄棒の先をテーパー状にしてスナップリングが外れにくくすることです。

ただし、お金があるのならば工具を買ったほうが数倍ラクです。(^^;)
私はKTCの172LLを使いました。

工具の購入はメンバー登録すると激安価格になるスナミ工具店がオススメです。もちろん通販もOK!

参考リンク:スナミ工具店

さて、ここからは組み付け作業です。
まずはブラケット部分から組み立てていきましょう。
スライドピンにグリスを塗り新しいブーツを取り付けます。

そしてそのままブラケットに組み付けます。
ブラケットに差し込むだけでOKです。
ゴムブーツがしっかりとはまっているかチェックしてください。
同様にもう片方のスライドピンも取り付けます。

次にピストンを組み立てます。
写真のように新しいOリング、プレート類を取り付けます。
ボールプレート、平プレート、スプリングプレート、平プレートの順です。
Oリングにはグリスを薄くぬっておいてください。

ピストンに差込ます。グッと力を入れて押し込んでください。

新品のスナップリングを取り付けます。
このときちゃんとミゾにはまっているか入念にチェックしてください。

続いてサイドワイヤーブラケット部分を組み立てます。
写真のように内部のC型ベアリングの切り欠き部分がピストン側にくるようにします。そしてグリスを多めに塗ります。 (塗るというより充填する感じですね。)

ピストン穴側からみた写真です。写真(正)のようにベアリングがフタになってなければよいのです。

新しいゴムブーツを取り付けます。ゴムブーツには薄くグリスを塗ってください。
またちゃんとミゾにはまっているか確認してください。

カムにグリスを塗ります。穴の部分は多めに塗っておいてください。

そしてそのままゆっくりと差し込みます。
カムの穴が先ほどのC型ベアリングの切り欠き部分と合うように取り付けてください。
差し込めばカムのミゾにブーツがはまるようになっていますので、ちゃんとはまっているかチェックしてください。

続いてストラットピンを取り付けます。
グリスを塗り、ピストン穴側から差し込むだけでOKです。

スピンドルロッドにグリスを薄く塗った新しいOリングをとりつけます。
先端の丸くくぼんでいるところにもグリスを多めにつけて、キャリパーへ組み込みます。グッと押し込んでおいてください。

次にロックプレートをつけます。
ロックプレートの突起と、キャリパーのミゾとをあわせるようにして装着してください。
ちゃんとミゾにはまっているとロックプレートは動きません。
そして新しいスナップリングを装着し固定します。

スプリングカバーの爪部分の状態をチェックします。ちゃんと「L」字状になっていればOKです。ここが「し」「レ」のようになっていたらプライヤーなどで修正してください。もし割れてしまってもこの部品だけ購入することは可能です。
部品番号・・・・¥250

ワッシャー、スプリング、スプリングカバーの順で組み付けます。

自作SST(Special Service Tool)です。
これを使って使ってスプリングを縮め、スナップリングを取り付けます。

こんなふうに装着します。
そしてこの状態のままスナップリングを装着します。

参考までに内部でどのようになっているのかキャリパーに組み付けずに写真を撮ってみました。
自作SSTを使うことによってスプリング&カバーが押さえられ、スナップリングが装着できるようになるわけです。

自作SSTを使うことである程度センターはでますが、スプリングカバーの足が干渉してしまわないように注意してください。
また締めすぎるとワッシャーとカバーが曲がってしまいますのでほどほどに。

−はみだし情報−
この特殊工具の作成方法を紹介しておきましょう。
作成にはピストンに入っていた写真のパーツを1つ使用します。 写真のようにAとBの部分を金ノコやサンダーなどでカットしてしまいます。右部分は切断後6角にしてソケットなどで締め付けれるようにしておきます。 今回は17ミリの6角タイプのソケットに対応させました。
ちなみに左の部分をカットしておかないとバネを完全に締め切れませんのでご注意を。
この部品は単体で購入可能です。

再び組み付けに戻ります。完成まであと少しです。
Oリングを取り付けます。
グリスを塗ってください。

サイドブレーキブラケットを取り付け、スプリングをセットします。
装着後ブラケットを動かし、スピンドルが約5ミリほど飛び出てくることを確認してください。出てこない場合はC型ベアリング、ストラットピンなどの取り付けが間違っている可能性があります

ピストンにゴムブーツをつけます。ピストンの端っこに軽く装着するようにしてください。ゴムブーツのツバの部分がピストンにかぶっていないぐらいがベストです。

そしてこの状態のままキャリパーに装着します。
先にゴムブーツのツバをキャリパーに軽くはめておいてからピストンを差し込んでください。そうしないときれいに装着できません。
ピストンをラジオペンチ等でねじ込んでいけばOH完了です。